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いしだい

磯釣りの人気者

磯釣りといえばイシダイ、イシダイといえば磯釣りで、かかった時の無類の豪快さ。
釣り心のない方には、水族館でおなじみの太い横じまの魚。
近ごろの乗用車がわれ先に採用した黒いフロント、いわゆるブラックフェースの持ち主。

食道楽一方の人には、夏の味覚、活き作りのイシダイ。そういったところが、イシダイのイメージである。

太平洋の黒潮洗う沿岸の荒磯に広く分布する。深さ50メートルくらいまでの岩礁の底に暮す。
成長にしたがって7本の広幅帯模様が現われはじめ、くっきり浮き出しているが、大きくなると、帯模様がぼんやりしてきて、鼻の先が黒ずんでぐる。
このへんがさしずめ、男ざかり、女ざかりなのであろう。
もう少し成熟すると、さらに帯模様が消えて、鼻の先が白っぼくなる。
釣りのほうでは、これをハナジロ、グチジロと呼び、ハナジロが出たという釣り便りは、大物への夢をかきたてる。

一枚歯でバリバリ

底のほうで暮らすので、ウニとか、フジツポなどの固いエサを噛みくだくから、特製の歯でないとやってゆけない。
顔を見ればわかるように、ナタの刃のような歯が口先からのぞいているが、これは上下のアゴの骨がせり出してきて、その骨と歯が集まって、一枚歯のようになった。
しかし、これでもすり減るので、その時は、その下から、控えの歯が出てくる仕組みになっている。

同類にイシガキダイがある。このほうは、石垣の模様のように、黒っぼい斑点が散らばっているが、ほかはイシダイと全く同類に扱われている。トラとヒョウのような関係と説明されるが、適切な引例だ。

こんなふうにどうぞ

調理の仕方

洗いが無難
イシダイは岩礁の多い所にすみ、春の産卵期には磯近くによってきて、よく釣れる。
全体が青灰色で数条の黒い横じまがあるが、大きくなるにしたがい、しま模様は薄れてゆく。
クパチシがとがり、身体は扁平、ウロコは細かく、体側の面積がかなり広い。
洗い、刺し身、煮つけなどにするが、一種のクセがあり、どちらかといえば洗いに作って、夏の料理に組み入れたほうが、この魚の欠点を隠す。